縁は異なもの味なものーーえっ、シャクティスタジオで猫を飼う?
ここ数ヶ月、シャクティ・スタジオで猫騒動があり、なおかつ、7月2・3日の横浜赤レンガ倉庫での「美女と野獣」公演のリハーサルやら、プレスリリースのまとめやら、チラシまきなどで、あたふたしていたためです。
さらに、7月10日から8月2日まで、フランス・アヴィニョン公演へ(このことは次回にでも書きます)。落ち着いてパソコンに向かえないので、せめてもと、ブログのリッチテキストをプロバンスのものにしておきました。
――さて、久しぶりの投稿ですが、今日は猫騒動の顛末を。
事の起こりは3月16日午後11時のこと。レッスンを終え、久美子とゆか、そしてビデオなどを作ってくれるべノンさんの4人でスタジオを出て堀切菖蒲園駅に向かいはじめました。
数メートル歩いたところで、べノンさんが、「なんか変な歩き方をしている猫がいる」といいました。近づくと、トラ毛の子猫が足をひきづり、マリ歯科医院の軒下に身を隠そうとしていました。
交通事故にでもあったのでしょうか。
頭が一瞬真っ白になりましたが、ほうっておくことはできませんでした。飼い猫のように見えます。飼い主は心配しているのではないだろうかなど、さまざまな思いがよぎりました。
久美子とゆかの思いも同じでした。冷静なべノンさんだけは一応反対しましたが…。3人の耳には届きません。わたしは噛まれないよう、着ていた革ジャンを子猫にかけてから抱きかかえ、みなで近所の原動物病院へ走りました。
あいにく先生はいませんでしたが、家人の方が応対してくださり、「零時には戻ってくる予定なので、そのときに診てくれるだろう」とのこと。久美子とゆかから治療費をカンパしてもらい、わたしだけいったんスタジオへ。
私用をすませた原先生は、疲れているだろうに、いやな声も出さず、携帯に電話をかけてくれました。(ありがたいことです。)
診断の結果、子猫は足を骨折していることがわかりました。レントゲン検査の上、手術が必要かもしれません。即刻、入院です。一応「酒井寅次郎」と名づけました。葛飾にゆかりのある"フーテンの寅さん"にあやかって。
さあ、これからが大変です。この子猫の飼い主、あるいは里親を探さなくてはなりません。治療費もかかります。チラシをべノンさんがつくってくれました。
万一、飼い主が見つからなかったら…。私が今住んでいる部屋では猫を飼うことができません。久美子も同じです。ゆかはすでに3匹も猫を飼っています。踊り仲間の裕子、はななどにも声をかけましたが、やはり飼うことはかないませんでした。「田舎で飼えないか」と高齢の母にもちかけましたが、「自分の年を考えると、責任がもてない」という返事。もっともなことです…。
当時、スタジオの責任者、シャクティはオーストラリアにいました。わたしたちの判断をどう思うだろうかと、不安がよぎりつつ、事の次第をメールしました。
「あなたたち、答えはわかっているでしょ!? もし保護しなかったら私の生徒ではないわ」
結局、寅次郎は「タイガー」という立派な名前をシャクティからもらい、スタジオ猫としてみなで飼うことになりました。シャクティは年の半分以上を海外で過ごすので、不在のときはわたしが中心になり、久美子とゆかの3人で面倒をみることになりました。裕子とはな、そしてその場に居合わせてしまったべノンさんらは、強力なサポーターとして協力することになりました。
骨折当時、か細く泣いていた子猫は、いまやヤンチャ坊主と化して、飛んだり跳ねたり、ねずみの玩具に猛突進したりしています。
当初はおとなしかったので、里親探しのとき、「お年寄りでも飼いやすい猫」と、さかんにアピールしたのですが…。見る目がありませんでした。猫の皮をかぶるとは、まさにこのことでしょう。
余談*縁は異なもの味なもの
猫騒動が起きた前日、わたしは薩摩切子の取材のため、鹿児島市の島津庭にいました。桜島を背に散策すると、日本に数少ないといわれる「猫神社」があり、お参りをしてきました。母にいわせると、猫の聖霊がタイガーを呼び寄せたのだろうといいます。
まさに、縁は異なもの味なもの。
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