転がる石 雲流れゆく
後悔してもしなくても
夢をみつつ 笑いつつ さいごまで
「たれ乳、ばんざい!」
2月14日午前3時すぎ、その20分ほど前から、うつらうつらしながら見ていた深夜番組で、ハリウッド女優らしき人が、朗らかに叫んでいた。
「え~、こんな風にはっきりと、自分の欠点を笑いのめせるなんて、すごい!!」。
彼女は、アクターズ・シアターの学生たちの前でインタビュを受け、自らが出た作品や演技法などを語っていた。20代後半だろうか、まだ若いようだがウィットにとみ、はっきりと、気取らぬ物言いである。「自ら映画をプロデュースしている」と聞き、「へぇ~、たいしたもんだ」と興味がわく。
一見、明るい印象を受けるものの、眼に影を感じる。化粧のせいかな!? いやそれだけではなさそうだ。肉感的なようでいて、意外にボイッシュなイメージもある。美人なのか、かわいいのか、それとも…。ともかく、作品によって、さまざまな雰囲気をさらけ出すタイプのようだ。
「ドリュー・バリモア」。どうにも気になるので、最後のテロップに流れた名前を手帳に書きとめ、朝を待ちグーグルで検索した。プロフィールを見てびっくり。子役のとき、スピルバーク監督作品、「ET」にガーディ役で出ていたからだ。しかも9歳で薬物乱用、14歳で自殺未遂、アルコール中毒と、画面につらなる文字に、圧倒された。
「あの確信めいた物言いには、このような経緯があったのか」と、妙に納得がいった。
深夜、ゆめうつつで聞いていた彼女の言葉。番組の最後の20分ほどだったが、印象に残った言葉を、不確かながらも、自分のこれからのため、ここに書き留めておきたい。
学生: わたしは、あなたと同じくらいの年。コネもなにもない。この道に進めと、あなたはいえるか?
ドリュー・バリモア:
わたしは俳優一家の出だが、それは30年も前のこと。すでに門は閉ざされていた。そこでオーディションをいっぱい受けた。それはさらし者になるようで、いやだった。だから、自分で自分を雇おうかと(笑い)。でも、オーディションを受けていろいろ経験できた。私は、どの役をやりたいのか、どんな人が好きなのかなど、見えてくる。
学生:ハリウッドについて(質問内容を忘れてしまった)
ドリュー・バリモア:
2つの性差、性がある。私は女性をおとしめない映画をつくりたい。
後悔するよりも、夢見て何かにむかって。
ああ、こんなことをした、言ってしまった、失敗したと、恥ずかしくなることも。でも、みなが笑えるように…。
私の顔にはにきびがある、たれ乳だし、でもこの姿のままでいい。たれ乳、万歳!
*
バリモアを最初見たとき、あまり好きな顔ではなかった。が、20分の間に気持ちがグイッと彼女に引き寄せられた。なんと魅力的な人なのかと。
さて、グーグルで検索したとき、冒頭のヒットは「バリモア、ニューヨークのトイレでセックス?」というもの。いやはや、こんな風に書き込みをされるとは、女優という仕事は大変だ。でも、こういう風に揶揄されるのは、人間味があるからかも。
「ローリング・ストーンズ」。 彼女のインタビューを聞きながら、久しぶりにこの言葉を思い出した。
時どき、わたしは考える。「今日は、どんな風に石が転がってゆくのであろうか。雲のゆきつく先はどこであろうか?」と。いい時もあれば、悪い時もある。それによって気持ちは右往左往しがち。「心身の一致」 を心がけてもなかなか心の靄が晴れないことがある。
そんなときは、「バリモア」とつぶやいてみるといいかもしれない。「失敗して恥ずかしいことがいっぱいあっても、笑みを忘れなければ、きっとまた明日につながるはず」と思い起こすために。
彼女にならい、わたしも叫ぼう。 「ぺちゃぱい万歳!」と。
*言葉の窓*
転がる石には苔は生えぬ
ごろごろと川原をいつも転がっている石には苔がつかない。人もよく働く人はいきいきしている喩え。
五里霧中のときには、「転がる石」になるといいのかも。
独楽の舞倒れ
回っていた独楽が力尽きて止まるように、自分一人が張り切って働き、結局事をなさずに力尽きてしまうこと。(「他力本願」もいいものだと肝に銘じつつ、この諺を記しておきます。)
Recent Comments